2019年09月06日
議会質問ダイジェスト その2 民生・児童委員、主任児童委員を取り巻く地域福祉
「活動費は妥当なんだろうか。他の市とかなり違う。」
民生・児童委員から声が届きました。
今年度は、民生・児童委員の改選期です。
千葉県条例で、民生・児童委員の定数を改正しました。
民生・児童委員は、民生委員法・児童福祉法に基づき、
厚生労働大臣及び千葉県知事より委嘱を受け、地域に設置されました。
その活動の主なものは、地域福祉の推進役として
低所得世帯・高齢者・障がい者・ひとり親家庭等の問題を抱えている人々の
生活上の相談等に応じるとともに、行政とのパイプ役です。
そこで、9月議会では、
民生・児童委員を取り巻く地域の現状はどうなのか
そして、県内の民生委員活動費を比較 この2点から、検証しました。
(グラフの説明は、前半は9/4で紹介したものですが、ご了承ください)
資料をご覧ください。データから木更津市を見ます。
A低所得世帯のグラフをご覧ください。
A-➀ 年々、生活保護世帯と人数、ともに増加傾向です。
A-A 世帯の状況をみると、
単身世帯でも、高齢者、障がい者、傷病者、母子世帯など、さまざまです。
もっとも多く、増加が著しいのが、高齢者の単身です。
障害者の単身も増加傾向です。
A-B 生活保護の扶助人数も年々増加傾向です。
特に増加傾向なのは、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、そして、介護扶助も増加しています。
次にB 低所得世帯のこども についてです。
B-➀ 経済的に困難を抱える児童・生徒の割合を比べると、
小学校より、中学校に、経済的に困難を抱える生徒が多いです。
B-A小学生について
H29、30年度をみると、全児童数は増加、経済的に困難な児童の割合も増加しています。
B-B中学生について
H29、30年度をみると、全生徒数は減少しているものの、経済的に困難な生徒数は増加しています
次にC 高齢者・介護認定者についてです。
C-➀千葉県内37市で比べると、
木更津市の要介護(要支援)認定者の割合は、突出することなく平均的です。
C-A木更津市の介護認定者数をみると、
高齢者を5歳きざみで、介護認定別にみると、
年齢とともに、介護認定者がふえ、介護度も重度になっています。
同年代の高齢者の中では、介護認定者はどのくらいを占めるのかをみてみました。
85歳を超えると、2人に1人は、介護認定者です。
次にDひとり親世帯 についてです。
D-➀児童扶養手当受給状況をみます。
所得額によって、児童扶養手当が支給されます。年々、増加傾向です。
E-➀
障がい児、障がい者の状況をみると、
障がい者の多くは、肢体不自由者で増加傾向です。
全体的にみると、特に、増加傾向なのは、内部障がい、そして、精神障がいです。
E-A
特別支援学級数は、小学校が、増加傾向です。
各学校ごとにみると、知的、情緒、肢体不自由、弱視のクラスがあります。
F児童虐待
F-➀ 児童虐待相談件数は、基本的に年々増加傾向です。
F-A 虐待をされている子どもの年齢を見ると、三才から小学生が増加傾向です。
F-B 主にだれが虐待するのか、実の父、実の母です。増加傾向です。
F-C 虐待者の割合でみると、実の父が減少傾向にあり、実の母が増加しています。
F-D 虐待の状況をみると、身体的虐待は、年により変動があります。
性的虐待は、本人の申告で初めて明らかになるので、
件数が多いか少ないかだけでは判断できません。
心理的虐待、ネグレクトは増加傾向です。
G 長期欠席児童・生徒 についてです。
G-➀ 小学校では、不登校児童がH30年度は増加しています。
15-29日欠席の児童数は、毎年多いです。
G-A 中学校では、不登校の長期欠席生徒数が年々増加しています。
欠席日数が多い生徒がだんだん増加し、長期欠席がより長期化しています。
G-B不登校児童生徒の割合は、年々増加傾向であり、
全国平均を上回っています。
H外国人 についてです。
年代別でみると、働く世代が多く、子どもは16-18歳の高校生が多いです。
I妊産婦・母子保健についてです。
3歳児健診についてですが、受診率向上のしくみを構築し、H29年度まで、減少傾向だったものの、H30年度は増加しました。
民生・児童委員とは別に、地域に主任児童委員を配置しています。
●H30年度からの新たな取り組みとは、どんな活動なのでしょうか。
地域での子育て支援の充実を図ることを目的とし、平成30年度から主任児童委員は
「乳児家庭全戸訪問事業」の一部を担っている。
出産のための里帰りから本市に戻ってきたタイミングで主任児童委員には、訪問している。
訪問の際には
・地域で子育てを見守っている主任児童委員の役割の説明
・行政や地域の子育てに関する情報の提供
・子育てに関する支援の希望を伺い、市への橋渡し
・児の養育状況の確認
などを実施している。
主任児童委員の家庭訪問により、育児に対する不安感や孤立感を軽減することが期待される活動である。
地域福祉について、いろいろデータを並べましたが、福祉の世界は、予防的な関与がのちのち、一番楽で安価です。予防的な関与は、なかなか成果としては表れません。
そこで、民生・児童委員の活動によって、この現状であるということです。
そこで、担当課に質問をなげかけ、活動の成果をみえる化してみました。
◆A 経済的に困窮している世帯
民生委員から市に相談や情報を提供してもらうことで、生活保護などの公的扶助を開始することができ、
その結果、重大な事態とならずに済んだというケースがある。
◆B 低所得世帯のこども、特に準要保護児童・生徒
以前から民生委員が、準要保護家庭の所見を書くのは負担だと軽減を求める声がありました。今年度から所見を書かなくなったとお聞きしましたが、地域の見守りを継続してほしいのですが、民生委員が新しい人に代わっても、見守りが必要な準要保護家庭を知ることができるのでしょうか。
新規に民生委員となったら、それぞれ前任者と、ノートやファイルの記録とともに、口頭による引継ぎを個別に行い、準要保護家庭の把握に努めている。
準要保護申請時の所見は必要に応じて記載することとなったが、引き続き、児童生徒を含めた担当区域内住民の生活実情の把握と見守りを、お願いしてしている。
◆C 高齢者・介護認定者
高齢者の、日常生活の見守りをお願いしていて、何らかの 公的扶助が必要となる場合には、
連絡をもらっている。
なお、介護認定については、民生委員から市に直接、ご相談はないが、
民生委員から地域包括支援センターやケアマネージャーなどにつないでいると聞いている。
◆D ひとり親世帯について
ひとり親家庭に支給される児童扶養手当の申請で、民生委員・主任児童委員に生活実態の意見書の作成をお願いしている。
意見書作成は申請者から民生委員・児童委員に直接依頼しているので、地域に住む方と接触することで、ひとり親家庭の孤立感軽減の一助となる。
ひとり親家庭が、民生委員・主任児童委員を知らない場合でも、児童扶養手当の生活実態調書が必要な場合は、地区の民生委員を紹介している。
年度によっても、違うがおおむね全体で50件ほど依頼している。
◆E 障がい児・障がい者について
障害児や障碍者の特性や個性を知り、コミュニケーションが円滑に行えるよう、今年度、民生委員の研修を実施したところだ。
◆E 特別な支援が必要なこども
クラスが増えている現状を,どのように捉えているか。特別な支援を必要とする児童生徒が実際に増えたのか。この増加傾向について少しご説明願います。
特別な支援が必要な児童生徒の微増により、特別支援学級数も年々増加している。
その理由として、平成28年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、
いわゆる「障害者差別解消法」が施行されるなどして、
特別支援教育に対する社会的理解が深まったことにより、
保護者理解が促進され、特別支援学級への門戸が大きく開かれたことが、
児童生徒数増加の一つの大きな要因となっていると捉えている。
◆F 児童虐待に関すること
民生委員・児童委員、主任児童委員には地域をよく知る住民の立場で子どものいる家庭を見守っていて、その活動は児童虐待の未然防止、早期発見にも繋がっていると考えている。
◆G 長期欠席児童・生徒
中学になると,増加する傾向があるが,教育現場ではどのような努力をしているのでしょうか。
中学1年生で、長期欠席者が高まる傾向がよく見られるが、その主たる原因は「小学校から中学校という環境の変化への適応がうまくいかない」いわゆる「中1ギャップ」が挙げられている。
各小中学校では、子どもたちがスムーズに中学校生活に移行できるように、小学校時より、中学校の体験入学や入学説明会を行っている。
また、中学校入学後も、下校時間を早めたり、部活動への入部時期を遅らせたりするなど、段階的なプログラムを組んで、中1ギャップの解消に努めている。
◆I 妊産婦・母子保健について
3歳児健診について、受診率向上のしくみを構築し、H29年度まで、減少傾向だったものの、H30年度は増加しました。増加後の対策や現状は?
未受診の理由は、●保護者の仕事の都合 ●幼稚園を休ませたくない ●本人・家族の体調不良 ●医療機関など他の機関が支援している などが多くなっている。
転出、転入前に受診済み、合計22件は対象者ではないことが、追跡調査でわかった。
このことから未受診者は一定数発生するものの、電話勧奨・保健師による訪問・保育園や幼稚園への在籍確認・出国の状況確認など様々な手段を用い、「未受診者ゼロ」を目指していく。
この件では、民生・児童委員には依頼していない。
このように、担当課へひとつひとつ、民生・児童委員の活動が、見える化できました。
次に、民生委員活動費の在り方について、検証します。
Aの表をごらんください。
民生・児童委員活動費は、県から一律に支給され、別途、市が単独で支給しています。
今回は、この市が支給する活動費について検証します。
Bの表をごらんください。
人口10万人以上の自治体は、170から360世帯に民生委員・児童委員を1人配置の基準です。
近隣3市は、人口10万人未満ですので、
木更津市は、人口10万人以上で比較することにします。
Cの表をごらんください。
木更津市をみると、民生委員の負担が人口増により、増えるということはなく、考慮された定数改正でした。
定数改正をしても、配置基準を満たせない自治体があることもわかりました。
Dのグラフをごらんください。
民生・児童委員の配置基準を満たしている自治体には、〇を付けました。
たとえば、成田市は、木更津市同様配置基準は満たしており、民生・児童委員が受け持つ世帯当たり換算で木更津市より36円多いです。
そこで、
民生委員の定数と世帯数の関係 について、質問しました。
●データは、定数で計算したものであり、現状はどうでしょうか。
次期、民生委員の推薦状況、また、欠員の地域は、どのように対応しているのでしょうか。
現在活動している民生委員は本年11月末で任期満了となり、12月1日に3年間の新規委嘱となる。
現在の民生委員の定数は205人だが、住民が増えた地区があることなど、地域の実情に応じて、必要な人数が見直され、12月1日からは、9人増加の214人となる。
委嘱は、各地区からの候補者推薦を取りまとめ、本年7月に民生委員 推薦会を開催し、
千葉県に推薦したところ。
欠員は、12月1日時点で、34人となる見込み。
欠員は、住民が増えた地区に見受けられ、必要に応じて、職員が町内会で民生委員の制度の説明をするなどの支援をしながら、引続き地区からの候補者推薦をお願いする。
●委員の活動費を県内比較すると、かなり格差があります。
活動費の金額は、いつからこのようになったのか。その経緯もご説明ください。
民生委員法第10条に「民生委員には給与を支給しない」と規定されている。
報酬としては支払ができないが、民生委員の職務を遂行するためには経費がかかるため、実費の一助として千葉県が活動費を給付している。
また、各自治体でも独自に給付をしている。
木更津市の支払い方法は、平成28年度以前は、民生委員 児童委員 協議会への補助金の一部として積算して支出していたが、平成29年度からは、千葉県の活動費と同様に個人への支払に変更した。
現在の民生委員活動費は、ひとり3万6千円、ここ10年来、同額であり予算の範囲で支出している状況だ。
●活動費の県内比較結果を、木更津市としてはどのような見解かお尋ねします。
木更津市の活動費の金額は、県内でも低い方であると認識している。
増額について検討していきたい。
「活動費は妥当なんだろうか。他の市とかなり違う。」という声から、資料請求をし、データ分析をひとつずつして、地域の現状と民生・児童委員のかかわりを浮き彫りにする一方、実際に、千葉県下でどのくらい格差があるのか調べ、9月議会に質問したのでした。
結果は、来年度予算に少しでも反映できたらと願っています。
今回、使用した資料の一覧はこちら
資料2(1) データからみる民生・児童委員の取り巻く地域の現状.pdf
資料2(2) 民生委員活動費の在り方.pdf
posted by のんのん at 22:48| 福祉