2019年11月23日

台風15号など一連の風水害を巡り、千葉県の対応を検証だけでなく、防災・減災の予防対応ができてなかった


22日に、台風15号など一連の風水害を巡り、
千葉県の対応を検証する有識者会議の初会合が開かれた。
と、新聞報道があった。

どうだろうか。千葉県は、高潮ハザードマップ作成後、
防災・減災にどのように取り組んできたのかも田中は検証したい。

台風19号がきたとき、高潮警報も発令されていた。
あちこち、大雨で川が氾濫した。
10/25には木更津市も小櫃川が危険水位でレベル4の避難指示が発令された。

千葉県では「水防法」改正に伴い、昨年11月に本県の東京湾沿岸で、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成し、公表した。
想定し得る最大規模の条件は、まさしく、先月の台風に類似していた。
・台風の中心気圧:910hPa 室戸台風級(我が国既往最大規模の台風)
・台風の移動速度:73km/h 伊勢湾台風級(我が国で移動速度の大きかった台風)
・主要な河川は、洪水(増水)を考慮
・堤防等は、最悪の事態を想定し決壊を見込む
・潮位は、朔望平均満潮位(さくぼうへいきんまんちょうい)に、過去に東京湾で発生した異常潮位(13.9cm)を見込む
・排水施設等は、周辺の堤防と共に決壊、または水没により機能停止を見込む


このようなとき、どのくらい浸水するか、
それはどのくらいの時間かがわかるハザードマップだ。

千葉県は、高潮ハザードマップを作成したが、
海がない埼玉県は、川の洪水ハザードマップを作り直している。
だって、平成27年水防法改正は、想定最大規模の降雨・高潮に対応したハザードマップの改定なのだから。

千葉県の場合、川に関するハザードマップは、H19年頃に作ったもののままである。
最大級の台風がきたときなどは、想定していないハザードマップのままだ。

まっ、それはおいといて、千葉県は高潮ハザードマップを作って、その後どうしたか。
千葉県のHPによると、今後の対応について このように書かれている。
「県では、この浸水想定区域図を基に、各市町村と連携し、水防法の規定に基づく想定し得る最大規模の高潮への対策に向け取り組んでいくとともに、高潮ハザードマップ作成などの取組を支援してまいります。」


いっておくが、木更津市の現在の地域防災計画は、
県のつくった高潮ハザードマップを反映していない。
木更津市だけではない。15市町どこもだ。
東京湾沿岸 高潮被害が想定され、約23,599ha
高いところでは、地面から10mの深さになり、
長いところでは1週間以上浸水する
というのに。

実は、
2017年(H29)「水防法・土砂災害防止法」が改正され、
各市町村の地域防災計画には、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の
「要配慮者利用施設」を指定し、公表することになっている。
どんな施設か。調べてみた。

高齢者施設、保護施設、児童福祉施設、障がい児・者施設等の社会福祉施設と、事業実施場所(学童保育などもあった)
病院、診療所の医療施設(有床に限る。)
幼稚園、聴覚特別支援学校、視覚特別支援学校及び特別支援学校

そしての「要配慮者利用施設」の管理者には、それまで努力義務だったものが、義務になったものがある。
それがこれ。
・避難確保計画の作成
・避難訓練の実施 


これは、H29年3月31日現在の取組状況だ。まだ、義務ではなかった。
努力義務のときから、積極的に取り組んでいた都道府県はどこか。
11.23.png


埼玉県のHPには、指定された市町すべてハザードマップは作成済みと確認までできている。
11.23-1.png


実際に、埼玉県久喜市の久喜市防災ハザードマップ(平成31年3月作成版)をみてみよう。
とてもわかりやすい。
11.23-2.png

実は、水防法改正で、住民目線のハザードマップにするよう決まっていたのである。

というわけで、まとめる。
高潮ハザードマップ作成後、千葉県は、各市町村と連携してというが、これまでどんな連携したのか。
台風15号の起きたあとの対応だけでなく、災害の起きる前にできることを怠っていたのではないか。
木更津市だけできていないのならともかく、どこも県が作成したハザードマップをもとに、住民目線のハザードマップを作っていないというのは、やはり、県の対応は不十分とおもわざるをえない。

なぜ、こんなに田中は、重く受け止めているかというと、
津波の高さは、木更津市民も浸透している。
でも、それより、高潮ハザードマップでは、深く浸水するエリアが多くある事を知った。

たとえば、高齢者施設で、浸水0.1-0.3mの避難計画と、
1-3mの避難計画では、避難の方法も全く違う。
もしも、大きな水害が起きたら、想定外だったとは言えないのである。
その時、千葉県はどういうのだろうか。
ぼくたちは、高潮ハザードマップをつくってHPでお知らせしていたというのだろうか。

埼玉県が市町と連携は、ハザードマップを改正し、
各自治体は、要配慮者利用施設に対して、避難確保計画を作成させ、
避難訓練を実施させていたから、浸水しても無事だったのだろう。
それは、このニュース。
/////////ヤフーニュース10/15(火) 11:00//////////////
屋根まで浸水した川越の老人ホームは、なぜ全員が無事避難できたか
https://news.yahoo.co.jp/byline/miyashitakumiko/20191015-00146818/
posted by のんのん at 22:21| 消防・防災