2021年06月09日
「保護の実施要領等を遵守しつつ温かい配慮の下の生活保護行政」をきいてみた
生活保護の質問は、昨年12月もしていた。
11月に、千葉県内の自治体の生活保護担当職員の研修があり、50人ほど参加、木更津市も3人参加
講師は、東京世田谷区でケースワーカー・保護係長を15年以上経験した社会福祉士、
今、生活保護制度の生き字引として頼られる存在の、
生活保護問題対策全国会議事務局次長の田川英信さんでした。
田中「この研修を受けて、今後に活かすことがあれば、お聞かせください。」
市 「本市でも、東京都の運用事例集及び県から提供された疑義照会案件をまとめた問答集を参考にしております。当該研修につきましては、生活保護業務従事者の対応として、保護の実施要領等を遵守しながらも、温かい配慮の下に、生活保護行政を行うよう強調されていたことに、深く感銘したとの報告を受けております。」
だから、6月議会の質問のタイトルは、あえてこれにしました。
「保護の実施要領等を遵守しつつ温かい配慮の下の生活保護行政」
現状分析をしながらの質問と答弁から
わかったことをダイジェストに紹介。
生活保護を担当するのは、福祉事務所と言います。
(市役所の中の社会福祉課です)
木更津市福祉事務所は、
所長 福祉部長
指導監督を行う査察指導員(スーパーバイザー)2人
現業を行う現業員 (ケースワーカー)17人
経理、医療・介護、生活保護システム運用の事務担当者
スーパーバイザーとケースワーカーは,
社会福祉法第15条第6項により社会福祉主事でなければなりません。が、
資格がないケースワーカーも配属されています。
質問 社会福祉主事の有資格者について今後の対応は
資格のない場合には「資格認定通信課程」を受講し、取得する。
3年未満の経験年数のケースワーカーは6割を占めています。
質問 日々の業務での課題やその課題をどのようにカバーし、業務をしているのか
ケースワーカーは、それぞれ担当地区を持って
生活保護受給世帯の支援を行っている。
各世帯からの相談は、
個別案件であるためマニュアル化が難しい。
このため、軽微なことも含めて
相談しやすい職場環境を整えることに注力。
日頃より、同僚、査察指導員の間で
活発に意見交換している。
複数の職員で訪問するなど連携、
協力体制を確立している。
また、担当者個人での判断が困難な案件は、
組織としての対応方針を協議する場である
「ケース診断会議」を開催している。
毎月1回程度の開催していたが、
昨年度からは、原則毎週の開催。
べテランも経験の浅いケースワーカーも、
孤立せず、安心して課題に向き合えるよう
努めている。
(これは、良い試みだと思いました。
それも、月に一回ではなく、週に1回。)
どんな場合に、生活保護費を
返還しなければならないか
生活保護法第63条関連
・保護費を支給したあとに生活状況に変化があった場合
・活用できる資産等がありながら保護を受けた場合
生活保護法第78条関連
よく、不正受給で報道されるのは、これに該当。
生活保護法第63条による返還金について、グラフにしました。
過去3年間の生活保護費返還の件数です。
令和2年度は、過去3年間で一番件数が多く、
特に多いのが、各種年金遡及受給と扶助費の算定誤りでした。
令和2年度では、
各種年金遡及受給が63%占めていました。
年金遡及受給…もらえるはずの年金があることがわかり、
手続きをすれば、過去5年間さかのぼって支給される。
(活用できる資産がありながら
生活保護を受けたことになるから、
これまで支給した生活保護費を返還。
その後は、支給される年金額を差し引いた分
の生活保護費を受けることになる)
令和2年度の返還金決定額は、平成30年度より額がすくなかったです。
返還決定額をどのくらい、年内で返還されたのかを表しています。
年度内に返還されなかった額です。
これらをもとに、1件あたりの返還金は、いったいいくらだったのか 区分ごとに、表しました。
平均で、平成30年度は、1件あたり、約24万円の返還金でしたが、令和2年度は約18万円と安くなったものの、返還できなかった金額は、平成30年度より多かったということをグラフと表から分析できます。
質問 返還決定額はどのように決めるのか。
ケース診断会議の中で、各種年金遡及受給や
保険解約返戻金等その収入の内容、
また、自立更生に充てた費用、
例えば住宅修繕費など、当該世帯の状況等を
考慮したうえで決定。
質問 主な扶助費算定誤りとは、いわゆる具体的にどのような場合か。
居宅生活の方が施設入所や病院へ入院することとなった際、
保護費における金額の切り替えが手続き上、
支給時期に間に合わず、支給後に修正した。
これは、今後「扶助費算定誤り」ではなく、
「その他」の分類にて計上することにする。
(そうですよね。算定誤りといったら、職員が間違えたみたいだけれど、
この場合、システム上のタイムラグ。算定誤りではないですね)
障害者加算の過誤払防止について
障がい者加算は、障がいの等級によって、加算の金額が違います。
近隣市では、
福祉事務所が自らの過誤(ミス)により、
障がい者加算で多く生活保護費を支給し、
それがわかった時点で過去にさかのぼって、
多額の返還を求めたという事案がありました。
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/794228
過誤払いの場合には、
保護利用者には何ら非もない場合が多く、
当然ながら支給された保護費を正当な保護費と考え、
消費し、通常は手元に過払い保護費は残りません。
保護利用者が返還するとすれば、
通常は最低生活費から捻出せざるを得ず、
最低生活費を下回る生活を
余儀なくされることになります。
このことは、過支給という
落ち度のある福祉事務所が、
保護利用者に保障する義務のある最低生活を
みずから侵害して、
過支給分の保護費相当を回収する
ということを意味します。
さて、木更津市は
このようなことにならないために、
障がい者加算の過誤払い防止の対応は
一般的には、障害者加算の過誤払いは、
障がいが重くなったり、軽くなったりで加算額が変わる。
主に2年に一度の精神障害再認定で判定された内容を
把握すれば、保護費を変更できる。
担当する被保護者の精神保健福祉手帳の等級
及び更新時期、再認定の進捗状況、
認定結果を把握し、過誤防止に努めている。
(この対応で、過誤払いがあったとしても
手続きのタイムラグによるものぐらいなので、多額にはならないですね)
さて、今度は、生活保護法第78条関連です。
これは、収入に変化があったとき、
最低限度の生活を保障するために
生活保護費を支給していたのに、
収入に変化があり増えた場合は
基礎控除などを除き、保護費を返却、
市は徴収することになっています。
具体的にどんな内容があるのか。
このグラフは、具体的に内容別に件数を表したものです。
年々増えているものの、令和2年度は、就労収入の無申告、並びに年金の未申告のみです。
内容別徴収金の決定金額の過去3年間の推移をあらわしています。
令和2年度は、件数は増えていたものの、決定金額は、激減していました。
徴収金の決定金額に対し、保護利用者からまだ徴収できていない金額 過去3年間の推移を表しています。
件数は増えているものの、決定額が低かったためか、未徴収金額も少ない状況です。
令和2年度をもう少し詳しくみてみます。
就労収入の無申告17件の世帯類別の割合です。どの世帯もあります。その他の世帯とは、高齢者世帯、母子世帯、傷病世帯などどの世帯にも当てはまらない世帯をいいます。
就労収入の無申告17件のうち、決定金額が多いのは、どんな世帯なのをみました。障がい世帯とその他世帯が多かったです。
就労収入の無申告17件のうち、決定金額に大して支払っているものの、まだ徴収されていない金額が多いのは、どんな世帯なのかをみてました。障がい世帯とその他世帯が多いです。
令和2年度は、就労収入の無申告の件数があったものの、
他はほとんどない状況です。すばらしい。
そこで、
質問 無申告という状況になる前に、
ケースワーカーは、
どのように保護の実施要領等を遵守しつつ温かい配慮の下、
保護利用者に対応しているのか、
就労収入の無申告防止策は
被保護者の方には、定期訪問や面談等で、
収入を含めた世帯状況の変化を必ず報告してもらうようにしている。
ここ数年、被保護者の就労活動に対しての支援に力を入れている。
ハローワークへの同行などを通じ、
日頃より被保護者の方の個々の性格や環境を把握し、
被保護者の方に寄り添い、信頼関係を築くことで、
収入の無申告防止にも繋がっている
高校生のアルバイト収入のうち、
授業料の不足分や修学旅行費、学習塾代、
大学・専門学校の入学金、
就職に必要な自動車運転免許の取得など
早期自立に充てられると認められたものは、
収入として認定しない取扱であることが
生活保護のしおりには明記されています。
質問 アルバイトをはじめそうな年齢になったら、
ケースワーカーから子どもにアプローチはあるのか。
定期訪問では、世帯の状況把握のため、
原則、家族全員と会うよう努めている。
学生は、授業や部活動等で不在の場合もあり、
夏休みなど長期休暇の際、
日時の調整を行い面談し、必要な情報を提供している。
堺市では、高校や大学、専門学校など、進学を考えるこどもたちを応援する中高生向け未来応援BOOK を作成しています。生活保護のしおりの中高生バージョンです。
kokokara3.pdf
質問 この未来応援ブックをみて、ケースワーカーの感想は
学生だけでなく、支援を行う立場においても、
必要な情報が網羅されており、非常によくできていると思った。
本市は、厚労省が作成リーフレットを一部加工して使用しているが、
今後、参考にしたい。
質問 進路指導をしている中学の先生からみたら
学生をもつ保護者にとっては、
進学にかかる費用や、支援制度に関する情報が詳細に記載されており、
配付の方法には配慮が必要だが、たいへん参考になる資料だと考える。
また、教職員がこのような情報を知っておくことは、
生徒個々に応じた進路指導を行うためにも、大切なことだと考える。
今後の展望に期待
ケースワーカーと教師が支援の情報を共有しておくことは、
子どもと未来を考える上で、とても効果的です。
さらに、熊谷知事は、
6月補正でスクールソーシャルワーカーの増員も
あげていますので、今後に期待します。
posted by のんのん at 23:59| 福祉
2021年07月14日
7 月19 日から移動スーパーの運行を開始
いよいよですね。自治会の回覧にも入っていましたね。
この話、議会ではぜんぜん、説明のない案件でした。
議会が終わった翌日の6/24の市長の記者会見で公表されたものです。
だから、田中にとっては、自治会の回覧で回ってきて
新鮮に感じたのでした。
1 事業の目的 買物に困難を感じている高齢者等の支援及び高齢者に対する見守り活動の推進
2 販売日時 7月19 日(月) から、月曜日から金曜日まで週5 日の巡回運行
販売場所1 カ所につき、週1回、約15 分販売。
フードスクエアカスミイオンタウン木更津朝日店を拠点に発着します。
3 販売場所 市内12 地区・43 カ所(裏面「販売スケジュール」参照)
経緯は、
「高齢者の足」の課題が大きくなるなか、令和2 年11 月にカスミから打診を受け、カスミ・
市・住民が協力・連携した移動スーパーの実現に向け、取組みを始めました。買い物支援が必
要な高齢者を把握している生活支援コーディネーターや地域包括支援センターを通じて販売
エリアや販売場所を検討・調整を行い、令和3年4月20 日に「買い物支援及び地域の見守り
活動推進に関する協定(別紙)」を市・カスミで締結し、運行開始に至ったものです。
別紙はこれ。って、紹介したかったけれど、
明日、ちょっと、確認してからにしますね。
43ヶ所の一覧が6/24の記者会見の資料であったんだけれど、
記者会見の一覧と、回覧で回っている移動スーパーの場所の数が違うの。
記者会見の一覧は、6/24現在 とあったので、
いろいろ精査して変わったのかなと思います。
というわけで、地域に回っている回覧はこちら。
追伸 木更津市のHPで調べたらわかったので、7/15のブログに続報を書きました。
posted by のんのん at 21:05| 福祉
2021年07月15日
7 月19 日から移動スーパーの運行を開始…昨日のブログの続き
木更津市のHPググってみたら、わかりりました。
八幡台は2つのチラシに分かれていました。大作公園も
八幡台なのに、ないなーと思っていたので、これでわかりました。
自治会の回覧は、高齢者の身近なところの情報だけで
いいから必要なところだけを配ったんですね、きっと。
というわけで、木更津市のHPにあった情報を
添付します。
posted by のんのん at 11:11| 福祉
手紙を書いてもらえませんかって、いいなー
ぎりぎり間に合った。
18時からは、みずほ塾のオンライン研修。
今夜は、
「困難を抱える人たちに寄り添う支援とは」〔奥田知志さん〕
でした。
両親宅の10分前に、夕食づくりのサポートを終え、
ぎりぎり間に合った。
すっと心に響く。
幸せに生きたいから働くのに、働きすぎで死んでしまったり、
豊かな成長のために学校があるのに、いじめや自殺がなくならない
「ひとりにしない」という支援。
日本は、困ったら自ら申請してという仕組み。
でも、ほんとうに困っている人は申請しない。
当事者からみた支援とは。
ひとつひとつがすっと心に響く。
アメリカと日本を比較。
日本は、お金もないけれど友達もいない。
アメリカは友達がいる。
イギリスには、薬を処方せず、社会参加のための処方がある。
これで医療費削減20%
ハウスレスとホームレスの違いは、なるほどと思った。
ハウスレスは、経済的困窮
ホームレスは、社会的孤立
いざというとき頼れる人がいない。
生活保護申請のときに、3親等以内の親族に援助を依頼する扶養照会がある。
これは、親や親戚などと縁を切るしくみだ。
親しかできないことを依頼すべきだ。
どんなにNPOや支援者が支援をしても、親しかできないことがある。
●●さんに手紙を書いてもらえませんか。って
生きていてくれるだけでうれしいと
思っているひとがいるということは、どんなに心強いことか。
これは親しかできない。
うるっときた。
あっという間の2時間。
月に一度、学びの場がある。
来月は、
「人新世の『資本論』」斎藤幸平さん(大阪市立大学大学院准教授)
posted by のんのん at 22:17| 福祉
2021年10月23日
成年後見制度の出前講座 好評でした
いざというときの備えは今のうち
自分や家族が、日常生活の手続きや金銭感覚が難しくなる。
事例紹介をもとにお話。
社会福祉協議会の出前講座を申し込み、開催した。
スタッフの手持ちのチラシでのクチコミだけでなく、
議会速報をみて参加された方もおられ、
講座のあとの質問タイムも会場からいくつもあり、
関心の高さを感じた。
この制度、利用したい人だけでもだめ。
支援する人が足りないと制度を運用できない。
また、こんなにいい制度があっても、
知らなくて利用する人が少ないのも、
宝の持ち腐れ。
こんな制度、みんなが利用できたらいいな。
だから、今のうちに、少しでも支援する側にと
考え、行動できる地域社会だといいな。
さて、私はどうかな。自問自答する。
posted by のんのん at 20:38| 福祉